「そろそろ現れる頃だと思ったわ」
いつかも通った人気のない裏通り。ノアールの前には厚い毛皮のコートを纏った美女が立っておりました。
「素敵なセーターね。せっかくだからもっと私好みにしてあげるわ」
「あなたは何者? なぜ私のことがわかったの?」
美女は少しつまらなさそうに首をかしげました。
「ほんとうに聞きたいことは、そんなことじゃないでしょう?」
ノアールは答えられませんでした。そのことを口にすれば、彼のともだちが──何度も頭をよぎったブランの悲しい顔が、現実になってしまいそうだったからです。
「でもいいわ、このごろの私は機嫌がいいの。心が決まったなら東の地を訪ねなさい。赤と青のケープを纏った像が目印よ」
美女はそう言って、黒くて長い爪を一振りしました。
気がつくと、ノアールはただひとり裏通りに立ち尽くしていました。
To be continued.
Produced: Jezz
File size: 19.9 MB
2 textures for sui's sweater of M4 Casual Set.