ある年のこと。
はるか天上の国では、天使たちと彼らの主が
つどいを開いておりました。
その年地上から届いた祈りを吟味し、一年の終わりに
どのような奇跡を起こすか、皆で話し合うのです。
「主よ、このような願いが」
天使の一人が地上から届いた訴えを読み上げました。
天使たちは困惑して互いに顔を見合わせました。
あまりにも赤裸々すぎると思われたからです。
「しかし主よ、地上の者の真摯なる願いを
見過ごすわけにはまいりませぬ」
一人の天使が立ち上がって言いました。
「ブランよ、汝の言葉は正しい」
主は答えました。
「馬鹿馬鹿しい。
本当に欲しいものは自分の手で掴み取るものなのよ」
また別の天使が言いました。
「ノアールよ、汝の言葉もまた正しい」
主は再び答えました。
「しかるにブラン、そしてノアールよ。汝等につとめを命ずる。
此度の地上の者の願い、
汝等がみずから地上に赴き、叶えるがよい」
「「え。」」
次の瞬間、輝く二つの星が夜空を流れました。
「「…………。」」
そこは、彼らの主を祀る聖堂のようでした。
「……とりあえず、着るもの探そうか」
「そうだね」
かくして、二人は地上に舞い降りたのです。